世界最古の新聞をネットで拝見
世界最古の新聞といえば、ドイツの「Relation」というのが有名です*1。さっそく、最古の新聞を見てみましょう。
右の画像のヘッダー部分をアップにしてみると、
1609年1月8日と確認できます*2。この新聞の発見当時は、誰もが、見たまんま1609年のものと思っていたのですが、紆余曲折があり、現在では1605年のものであるとされています*3。いずれにせよ、日本は江戸時代真っ只中ですので、ずいぶんと古いですね。
続いて、もうひとつ、別の「世界最古」の新聞を見てみましょう。
これはもともとヘッダー部分で、日付が1645年4月9日であることが、確認できます。「Relation」から、40年も遅れていますので、世界最古とは言えません。ちなみに、スウェーデン語なので、内容はさっぱり分かりません。
しかし、今から3年前くらいなので、覚えている方もいらっしゃるかもしれませんが、
[2006年当時]現存する世界最古の新聞[社が]“紙”を放棄しオンラインにシフト *5
した、ということで話題になりました。この事件により、最長寿(≒最古)の新聞社でさえ、これまでの紙ベースのビジネスモデルから、ネットベースのビジネスモデルに変換したということで、時代の変化を感じさせたわけです。
さて、本日は最後に、1点だけ整理しておきましょう。いたるところで、「電子化」という言葉を目にしますが、大きく分けて、二つの意味があります。
「電子化」業界の用語を使うと、「電子化」は
- アーカイブ
- カレント
に分類することができます。先ほどの、世界最古の2つの新聞を例にして、その違いを説明します。
今回紹介した画像のように、昔に印刷された紙ベースの新聞をスキャンして、画像データにすることを、「アーカイブ」の「電子化」と呼びます。言い換えると、「コンテンツのフォーマット変換」ということになります。主に必要なツールは、スキャナ、ということになります。
一方、先ほど「最長寿の新聞社がビジネスモデルを転換した」ように、これまで普通に紙ベースの新聞を発行していたのが、オンラインベースに移行することを、「カレント」の「電子化」と呼びます。言い換えると、「コンテンツを流す流通形態の変換」になります。主に必要なツールは、電子出版用のソフトウェア、ということになります。
というわけで、結局何を申し上げたいのかといいますと、「「アーカイブ」と「カレント」の区別をしておくと、現在、かなりホットな「電子書籍のビジネス動向」をよりよく理解できるかもしれません」ということです。
*1:ただし、このRelationは、見た感じ、全く「新聞」ではありません。なので、最古の新聞と呼んでいいのか、疑問が残ります。
*2:ドイツ語とラテン語で「Zeitung auf Koeln vom 8. Jenner Anno 1609」と書かれていますね
*3:http://en.wikipedia.org/wiki/Johann_Carolus
*4:実際に貼り付けた大きな画像は、こちらから拝借 http://www.mentalfloss.com/blogs/archives/26283