大容量ファイルSSIM縛りJP2変換に関する雑感

おそらく、最初で最後でしょうが、雑感(私見)を述べてみようと思います。


最近、「SSIM JPEG2000」で検索する人が増えているようです。(と言っても、マニアな領域の話ですので、たかが知れてて、AKB48全員よりも少ないでしょう、きっと)


その理由は明らかなのですが、「SSIMとは何か? その1」でも書いたように、

いろんな公共機関が大規模な電子化プロジェクトの予算をつけて、

  1. 画像のフォーマットとして、JPEG 2000にすること、なおかつ、
  2. SSIMの値を一定水準以上にすること

という指定があったからです。


これまでも、JPEG 2000を採用しているプロジェクトはありました。しかし、これまでのプロジェクトは、「PSNRの値を一定水準以上にすること」という指定でした。それが今年[2009年ですね]あたりから、PSNRではなく、SSIMを基準とするようになってきた、ということです。


http://d.hatena.ne.jp/denshikA/20090921

ということです。


ただ、この時期、電子化業者が、かなり困ってることがあるはずです。あえて、具体的な言及はしませんが、おおよそ、

JPEG 2000変換にやたらと時間がかかって、かなわんわぃ


しかも、どうやって変換するのか、さえ、わからんわぃ

というようなことだと思います。


確かに、ここ最近の「仕様書」には難解な記述が多く、かつ、その仕様通りに変換できる市販ソフトは、高いか遅いか、その両方か、という状況だと思います。なので、普通に考えれば、お手上げな状況なのでしょう。全く、なんでこんな仕様になってしまったんでしょうね。


ところが、ここ最近の「仕様書」について、私は、とても良いことだな、と思うことがあります。


私が理解する範囲では、今回の仕様、特に大容量ファイルのSSIM縛りJP2変換に関する部分について言えば、市販ソフトを買ってきて、がんばって変換して、どうにかなるものではありません。つまり、適正な利潤を確保しながら、なおかつ、現実的な価格で変換を請け負うためには、電子化にまつわる全工程に関する深い理解を必要とし、「市販ソフトを買って頑張る」という次元を超えた創意工夫が必要なんです。


もうちょっとだけ具体的に言いましょう。(でも、あまり具体的に言えない事情もご理解くださーい)


SSIM縛りのJP2変換をする場合、与えられた元画像を、与えられたソフトで変換すると、おそらく、天文学的な金額になるでしょう。*1


ならば、どうするのか?


まず、第一に、SSIMの特性を理解して、画像を作成するスキャン段階から関与しなくてはいけません。どういう風にスキャンをすれば、後工程のJP2変換が早くなるのか、ということをちゃんと考えてくださいね。ここは、普段から、スキャンに実際に携わっているかどうか、が勝敗を決する部分です。スキャンなんて、スキャナを回すだけだろ、と思っちゃってる人は、かなりヤバいです。今回の仕様書で淘汰されちゃうかもしれません。


次に、市販ソフトを市販PCで走らせてちゃ、とてもじゃないですが、競争できません。まず、ソースをいじらないことには、今回の競争で、スタートラインにもつけないでしょう。つまり、予選落ちです。なので、ソースが公開されないようなソフト(って、普通そうなんですが)を買ってきても、太刀打ちできないと思います*2。さらに、PCも部品レベルでの交換が必要になってくるでしょう。メモリの増設以外で、PCのふたを開けたことがない人は、かなりヤバいです。今回の仕様書で淘汰されちゃうかもしれません。


というわけで、大容量ファイルのSSIM縛りJP2変換を適正な利潤と価格でやってのけるためには、「電子化にまつわる全工程に関する深い理解」を持ったパートナーを早く見つけることが重要です。私の理解では、「電子化にまつわる全工程に関する深い理解」を持った会社は、かなり少ないと思います。つまり、今回は、そのような会社の争奪戦になるわけですね。

*1:おおげさに言ってますので、実際は、「目玉が飛び出る」くらいです。

*2:唯一、市販ソフトを作ってる会社にあれこれお願いして改良してもらえばいいのですが、おそらく、足元を見られて、すごい請求書が届くでしょう。