リボン・スキャニングとは何か?

さて、このへんで再び、新聞電子化の現場をご紹介しましょう。本日の題材は、こちらのビデオ*1です。



以前、ちょろっとご紹介したように、書籍や新聞の電子化プロジェクトは、

すでにマイクロフィルム化されている場合はマイクロフィルムから電子化し、マイクロフィルムが無い場合は、紙面[ないしは原本]を直接電子化していきます。


http://d.hatena.ne.jp/denshikA/20090903

マイクロフィルムから電子化したほうが、数段、楽チンだからです。


その「マイクロフィルムから電子化」について、ちょっと前に、地味に、大幅な技術的な進歩があったので、ご紹介しておきましょう*2


その名は、「リボン・スキャニング」です。その他にも、別称がいくつか存在していますが、おそらく、「リボン・スキャニング」が一番通じると思います。


リボン・スキャニング」というのは、

マイクロフィルムのロール1本まるごとを、1つの画像としてスキャンして保存する*3

というような意味です。


先ほどの動画の最初の方をチラッとみると、

という感じで、マイクロフィルムがどんどんスキャンされて、PC画面上にどんどんつながっていってる様子がわかると思います。、


例えば、こちらにあるように、

16mmフィルムは幅16mm、長さが100フィート(約30.5m)でA4サイズの書類が2400枚程度撮影できます。

http://jcws.or.jp/microfilm.html

ということですので、縦16mm x 横30,500mmの画像を作成することになります。300dpi/グレースケールだとして、約500MBくらいの大きさです。当然、35mmフィルムでしたら、その倍くらいで、約1GBくらいでしょう。*4


ただし、画像を表示させるときに、横30,500mmの画像なんて、ひたすら右にスクロールしていかないといけなくなってしまいますので、実際は、

このように、ある程度のところで、「改行」して表示していきます。そして、画像を編集したりするときは、右端と次の行の左端はくっついてるもんとして処理されます。


話を聞いただけだと、「なんだ、たいしたことないな」と思うかもしれませんが、この技術が出現する前に、マイクロフィルムがどうやってスキャンされていたのか、ということを知ると、「でら便利になったじゃんね」と思うはずです。*5


次回は、この技術が出現する前に、マイクロフィルムがどうやってスキャンされていたのか、ということを見て行きます。


とりあえず、今日のところは、リボン・スキャニング」というものがあって、それは「マイクロフィルム1本を1つの画像として取り込む」技術であり、その技術のおかげで、スキャン現場は大いに助かってます、とだけ知ってください。

*1:分かりやすいビデオを選んだだけですので、ここで紹介されている商品がオススメです、とか、私がこの会社から何らかのインセンティブを受け取っている、というようなことはありません。私のオススメを知りたい方は、別途メールなどで問い合わせてください。

*2:話を分かりやすくするために、細かい点で、正確じゃない記述を含みますが、大枠を理解する目的なら、支障がないはずです。

*3:実際には、分割されたBMP画像などがいくつもできる感じで、表示させるときや、加工するときに、それらがあたかもひとつの画像であるかのように扱う、という仕組みです。

*4:実際は、こんなに単純ではないので、35mmフィルムの場合だと、25〜50GBくらいの画像ファイルができあがる、と考えてください。

*5:まだ、細かい点で、ソフトが不安定だったりして、「でら」とつけて良いかどうかは微妙ですが、方向性としては「でら」です。