リボン・スキャニングとは何か?その2

本日のお題: マイクロフィルムのコマ検出


前回、リボン・スキャニングという「超マイナーでありながら、メジャー級の進歩」と、私が勝手に思い込んでいるものを紹介しました。そして、

話を聞いただけだと、「なんだ、たいしたことないな」と思うかもしれませんが、この技術が出現する前に、マイクロフィルムがどうやってスキャンされていたのか、ということを知ると、「でら便利になったじゃんね」と思うはずです。


http://d.hatena.ne.jp/denshikA/20100517

という流れですね。流れについてけてないな、と思う方は、http://d.hatena.ne.jp/denshikA/20100517から始めてください。


今日は、ちょっとだけ、技術的な「寄り道」をします。


マイクロフィルムというのは、幅16mmとか35mmのフィルムの中に、こんな感じで書類などが撮影されているわけです。


http://www.city.sano.lg.jp/reiki/reiki_int/reiki_honbun/ar12406221.html

そして、ひとつひとつの写りこんでいる書類の部分を、「コマ」と呼んでる(ようです)。


このマイクロフィルムをスキャンすると、こんな感じの画像になります。


そして、下図の赤線の部分に注目すると、ほとんど「黒」です。一方、青線の部分に注目すると、ほとんど「白」です。


この「黒」と「白」をグラフにしてみましょう。


ここまで来ると、お分かりだと思いますが、グラフで「谷」になる部分が、マイクロフィルムに写っている書類の「区切り」になりそうですね。こんな感じです。


さて、ついでですので、縦方向も見てみましょう。先ほどと同様、下図の赤線の部分に注目すると、ほとんど「黒」です。一方、青線の部分に注目すると、ほとんど「白」です。


この「黒」と「白」をグラフにしてみましょう。


またもや、グラフで「谷」になる部分が、マイクロフィルムに写っている書類の上下の「区切り」になりそうですね。こんな感じです。


そして、紫と緑の線で切り抜いていけば、コマの画像が取り出せそうですね。


という感じで、マイクロフィルムを電子化していくとき、白黒のグラフをもとに、コマを検出し、自動的に切り抜いていくことが理論的に可能なことがおわかりいただけたでしょう。


ところが、「理論的に可能」なことは、たいてい、現場では通用しません。そのことがもたらす、大混乱を、次回見ていきましょう。