リボン・スキャニングが持ち込んだ「新しい土俵」 その2

本日のお題:「ながら」作業は非効率


このシリーズは、リボン・スキャニングについて、概要はご理解いただけていることが前提となっています。もし、なじみがなければ、以下を先にご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/denshikA/20100517
http://d.hatena.ne.jp/denshikA/20100518
http://d.hatena.ne.jp/denshikA/20100520
http://d.hatena.ne.jp/denshikA/20100525


前回(http://d.hatena.ne.jp/denshikA/20100526)に引き続き、リボン・スキャニングが持ち込んだ「新しい土俵」について、紹介していきたいと思います。


昨年、ちょっと「余計なお世話」な発表がありました。

携帯音楽プレーヤーiPodアイポッド)を聞きながら、ネットで動画を見、インスタントメッセージを打ち、Eメールをチェックし、フェースブックFacebook)をアップデートする――複数の作業を同時にこなす「マルチタスク」は良いどころか、どれもうまくできないとする研究結果を、米スタンフォード大学Stanford University)の研究チームが[2009年8月]24日発表した


http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2634341/4496053

らしく、ほとんどの方が該当するのではないでしょうか?実際、今、電車で目の前に座っている女性も、音楽を聴きながら、難しそうな本を開いて、居眠りしています。(器用ですね。)


かく言う私も、Youtube見ながら、これを書いています。なので、誤字脱字、脱線、誤報は、お許しください、全て、「マルチタスク」のせいです。


気を取り直して、本日は、マイクロフィルムのスキャンにおける「マルチタスク」についてです。手短に行きます。


リボン・スキャニングが出現する前、マイクロフィルムのスキャナーは、「マルチタスク」を強いられていました。つまり、従来のマイクロフィルム・スキャナーは、

1.スキャンをしながら、
2.コマの自動検出をして、
3.コマを切り取って、
4.それぞれのコマをJPEG圧縮などして、
5.保存していく

という一連の作業を、一台でやらされていたわけです。


ところが、これまで見てきたので、お分かりいただけるように、リボン・スキャニングを採用しているマイクロフィルム・スキャナーは、

1.スキャンをしながら、
2.保存していく

ということしかしません。あとの画像処理は、別のPCに入っている、別のソフトにお任せするのです。


このことは、とても重要です。


従来のマイクロフィルム・スキャナーというのは、「マルチタスク」のせいで、スキャンスピードを上げることができませんでした。なぜなら、スキャンすると同時に、画像処理まで担当しなくてはならなかったのですから。ところが、リボン・スキャニング以降のマイクロフィルム・スキャナーは、スキャンと保存に専念できますので、チャキチャキ処理を進めていくことができるようになりました。


そして、スキャンしただけのRAWデータは、画像処理専用のPCに送り込まれ、こちらも「マルチタスク」の呪縛から解き放たれて、チャキチャキとスピーディーに処理を進めていくわけです。


人間だけでなく、マイクロフィルム・スキャナーだって、「ながら」作業は非効率だったのです。


というわけで、これまで見てきたリボン・スキャニングの長所は、「コマ自動検出にしくじった場合」に関係することだったので、「従来型スキャナーだって、しくじらなきゃいいんでしょ」という言い訳の余地を残していたのです。ところが、「マルチタスク」からの解放によるスピードアップについては、従来型スキャナーに弁解の余地はもうありません。やはり、時代の流れとして、リボン・スキャニングなのです。これが、リボン・スキャニングが持ち込んだ「新しい土俵」 その2です。