出発しまーす

そろそろ1年経ったので、突然ですが、新天地へ向け、出発します。というわけで、「電子化」は、終了です。


みなさん、これまでいろいろとありがとうございました。またいつか、どこかで、別な「マニアック(ニッチ)な」ものを書きはじめるかもしれませんので、発見したら、お付き合いしてください。トピックは違っても、書きっぷりは一緒にします。


最後に、今の心境です。

西行はなぜ出家したか、幸いその原因については、大いに研究の余地があるらしく、西行研究者たちは多忙なのであるが、ぼくには、興味のないことだ。およそ詩人を解するには、その努めて現わそうとしたところを極めるがよろしく、努めて忘れようとし隠そうとしたところを詮索したとて、何が得られるものではない。保延六年に、原因不明の出家をし、行方不明の歌をひねった幾十幾百の人々の数のなかに、西行も埋めておこう。彼が忘れようとしたところを彼とともに素直に忘れよう。ぼくらは嫌でも、月並みな原因から非凡な結果を生み得た詩人の生得の力に想いを致すであろう。


栗の樹 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)